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パーソン 瀧定名古屋社長 瀧健太郎さん 社員に向き合い、責任を負う覚悟

2019年08月26日メディア

パーソン 瀧定名古屋社長 瀧健太郎さん
社員に向き合い、責任を負う覚悟


昨年8月、16年にわたって社長を務めた瀧昌之氏(現会長)からトップを継いだ。
1864年創業という文字通りの老舗企業の舵を取ることになった今という時代は、
繊維・ファッション業界だけでなく、消費のあり方や
生活の価値観が大きく変わりつつある。
その中で、国内の服地コンバーターとして圧倒的なシェアを持ち、
アパレル製品などほかの分野にも強みを発揮する、
瀧定名古屋を運営していく思いを聞いた。

ネットワーク広げ 時代を切り開く

――取引先を回って感じたことは。

老舗企業の社長としてのプレッシャーを感じないわけではないですが、
それは大きなところではありません。
瀧家の先代や前社長の瀧昌之会長がやってきたように、
何より目の前の社員の人生を背負っていくという責任を感じています。
会長が取り組んできた、徹底して社員と向き合うことに覚悟を決めています。
徹底してやるという心構え、それが大きなことでした。
先々のリスクも考えなければならないですが、
根っこは社員に向き合うこと。
さらに言えば、目標を間違えてはいけないという緊張感は常にあります。
時代をどう切り開くか、というのがプレッシャーと責任です。

昨年は国内取引先を中心に、今年4月からは海外の拠点と取引先を回りました。
その中で155年の歴史を改めてひしひしと感じています。
積み上げてきた信頼や期待感、OBの方々の話には歴史の重み、
そしてありがたみを感じ、それは日ごとに増しています。

6月末にカンボジアやベトナムの仕入先への訪問を終えました。
カンボジアには1年前に行ったきりでしたが、
この間に海外ブランドと取引する準備が整うなど進展しています。
米中貿易摩擦の迂回で、ベトナムに入っている中国資本との
競争や緊張が高まっています。

――就任後の事業環境は厳しい。

就任してすぐの冬物の販売が振るいませんでした。
天災や暖冬もありましたし、物流費の高騰や人手不足の顕在化が
クローズアップされたのが昨年。
ベースが大きく変わってきていると感じています。
ネットとリアルの関係も大きな変化です。
商品の価値が消費者の中でも変わり、
商品を供給する我々は変化を求められています。
2次流通の台頭のように物を持つ感覚が変わってきています。
それにどう応えられるか、ですね。

――新規販路の開拓の状況は。

なかなかマスにはなっていません。
ネットにも取り組んでいますが、それを事業化しようとは考えていません。
現状は人脈作りと割り切っています。
テキスタイルを扱う問屋という業務は、
繊維・ファッション業界の中でネットワークを構築しやすい位置にあります。
これまで、ボリュームを求めて深く掘り下げるという動きをしてきましたが、
より広くネットワークを作ることが重要になっています。
6月にバルセロナで開かれたITMA(国際繊維機械展)に行きましたが、
知ってる人が少なかった。
まだネットワークがないということに気付かされました。
もちろん、染色などで当社の専門職がつながっているということはありますが、
まだ川上でも分かっていないことがあるわけです。

営業面ではテキスタイルを中心に新規開拓を活発に行い、
ユニフォームなど様々なマーケットに挑戦していますが、
新しい分野に人脈を広げる作業をしていく必要があります。

先ほど、問屋機能と言いましたが、作って売るのが基本。
それが難しくなっていますが、ファッションについては
商品があって売っていけます。
しかし、新しいマーケットに向かう商材がない。受注生産に近いのが現状。
ユニフォームの販路は広がっていますが備蓄型ですし、
物性を含めて、ファッションとは求められる厳しさが違うので、
一進一退で取り組んでいます。

お客様が変化を求めているのは間違いありません。
従来は変化のなかったお客様でも新しい血を入れたいと動き出しています。
それに応えていきたい。
製品事業では、作るための仕組みはどこでもできるわけではありませんから、
何でもやりますというスタンスではできない。
生地の情報を製品にどうフィードバックできるかを軸に変化に対応していきたい。

問屋機能を生かし 価値ある商品を

――足元の状況、景気動向をどう見るか。

今上期(2~7月)は非常に厳しい。
売上高、利益ともによくない。
1マークごとのオーダーも少なくなっています。

消費の仕方が大きく変わっています。
物への意識もはっきり分かれ、必要なら買うし、
シェアして使うだけの物もあります。
2次流通のサプライチェーンにも絡まなければなりませんが、
レンタルを含め、まずは取引のあるところから流れに関わっていきたい。

――アパレルの大量廃棄について。

大量消費一辺倒、画一的なサプライチェーンでは
解決できなくなっています。
所有しなくていいと考えているところに大量生産で
押し込んでいる面があり、作り方が変わっていかないと駄目でしょう。
百貨店のプロパー消費率を考えてみても、
コストとプライスのバランスを見直していかなければなりません。

問屋である以上、在庫を持って生地を売る、
その機能が問われているのですが、
「在庫を持つが、売れる商品を作る」ということが論点。
消費者にとって価値ある商品、つまり売れる商品を生む出すことに力を尽くすこと。
大量廃棄をなくすには売れる商品を作れといい続けています。

ファッションですから嗜好がある以上必ず在庫は生まれます。
作らない限り、物は動かない。
流れをスムーズにしていくことが重要で、
企画段階から生地が必要とされるように突き詰めていくことです。
在庫を悪にしてはいけない。ただ、現場は大変ですが。

特に産地は苦しい。生産期間が長くなり、
決断のスピードが必要になっています。
ばくちではなく、お客様とも共有していかなければなりません。
合繊のキャパシティーを確保するにはカーシートなど
他業種との競合になっています。
より早い段階から話を進める必要があり、
一層難しくなっています。

大量生産するとコストが下がり、品質は良くなります。
その意味で服は工業製品。
廃棄を減らそうとすれば、コストが高くなるということ。
素材の差別化を訴求していますが、製品になった時に
どう訴求できるかが重要ですし、それは難しさを増しています。

消費者のコト消費への志向もあり、生活シーンの変化もある中で、
生産コストから積み上げるロジックだけでは響かないのははっきりしています。
お客様の中にも原価率に挑戦し、消化率を高めているところがあります。
そうしたブランドはリスクを張っています。
消費者に価値が認められ、売れています。

4年間上海にいて感じたのはネットの変化とロジスティクスの発達。
赴任当時に比べ、上海蟹のような生鮮食品が流通していったのは衝撃的でした。
「独身の日」に中国の地方で売れているのも物流の信頼感が増し、
大きく変わったことが背景にあります。

中国のネットアパレルは原価の1.5~2倍の価値で売っていました。
一方店頭では5倍、10倍。
価値が混在している中で掛け率をしっかり設定したところは伸びています。
ネットでなくても価値を作るために努力しているアパレルもあります。
これは日本の市場を見る時にもつながっています。

――前社長は時間をかけて女性社員の登用に取り組んできた。

ぶれることなく継続していきたい。
婦人服地を中心に女性社員が活躍できる環境を整えてきましたが、
他の部門にも広げ配属しています。

婦人服地では女性の営業社員が育つまでに10年かかりました。
受け入れる男性の意識や働き方が変わってきました。
マスになった時に、結婚や出産など次のステージにどう対応するか、
営業のスタイルをどう変えていくかが課題になっています。
社員が長く健康に働ける環境を作ることは女性の活躍に
つながりますから、力を入れていきます。

フルタイム勤務で共働きする社員には時差出勤を実施していますが、
ケース・バイ・ケース。フルタイムが当たり前というのは
成り立たないのかもしれないと思っています。
瀧定名古屋での人生で、働きながら子育てしたり、
家族との生活を大切にしたりして欲しい。

仕事だけの生活では得られない貴重な経験は、
いろんなことに対応できる力も生みます。
今までのやり方を肯定していたら無理。
人事担当には苦労をかけますが。
悩ましいのは問題が起きてからの対処になっていること。
今いる女性社員にはストレスを与えていると思います。

瀧定名古屋が生き残っていくうえで必要な新たな価値観は何なのか。
ドラスチックなことはないでしょうが、
取り組むべきことにはスピーディーに臨みたいと考えています。

  

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