◎2027 SPRING&SUMMER DIRECTION BOOKインフルエンス
《”環境と調和しながら場をつくる”ジェフリー・バワの思想に倣う》
気候変動や都市化が進む昨今
過剰な演出を避けた考え方が再び見直されています。
西洋生まれのモダニズム建築の原理と熱帯地方特有の
建築的な伝統を融合させたトロピカル・モダニズム様式。
主にアジア、アフリカ、南米などに存在するこの様式は
熱帯地域の気候と各地の独自の文化やライフスタイルに応えるかたちで
20世紀半ばから登場し始めました。
同様に、40度を超える日が続くUAEアラブ首長国連邦では
一見無機質なスタイルの後ろに隠れている
複雑な歴史背景や服装にも独自の文化があります。
例えば、大前提としてあるのが『強い日差しの時間帯は極力外に出ない』ということです。
猛暑と共に生きるための知見が根付きこれは“工夫”というより“常識”でもあります。
また、アラブの女性たちが纏う黒いアバヤ(伝統衣装)は
一見すると暑そうですが、実は通気性が良く
風を通しやすい素材が使われているため、意外にも涼しく
加えて『すぐに着られる』といった利便性も高く生活の中に溶け込んでいます。
”リッチで快適”な環境工学的な視点をヒントに
自然と人間の暮らしの境目が溶け合う
蒸暑アジアとの生きたつながりとファッション文化の
可能性を問い直し楽しむ時代を築く試み”ヴァナキュラー(暮らしの根幹)”という
視点が時代や価値観の変遷をみる上で重要になってくるでしょう。
◎ミラノウニカ展素材傾向総括
第42回MILANO UNICAは、ヨーロッパからの出展社数が過去最高(前年比+25%)を記録し、合計730社が参加する大規模な展示会となりました。
IDEA BIELLA、MODA IN、SHIRT AVENUEの出展を含む585社は、
2025年2月開催時比で+5.2%と着実に増加しています。
展示面積も拡大し、総面積は25,803㎡に達しました。
国別では、フランス(+8.5%)とアメリカ(+13.5%)が最も多くの出展社数を擁し、
国際色の強い構成が際立ちました。
バイヤー来場者数は、韓国(+10%)、カナダ(+6.6%)、ドイツ(+8%)、日本(+2.4%)などから増加しイギリスとスペインも前回同様に好調な来場状況を維持しました。
開会式での討論では、PITTI IMAGINE UOMOおよびMILANO FASHION WEEK直後の開催日程が高く評価されました。
これにより、バイヤーや業界関係者にとって一貫性のある戦略的な動線が生まれ、
さらにMILANO CORTINA OLIMPICS開幕前の開催であったことから、
物流・移動・宿泊面での負担軽減にも寄与したと総括されています。
一方、Confindustria Modaの市場調査(Istatベース)によると、
2025年最初の9か月間におけるイタリア製繊維産業は
売上・輸出ともに前年からマイナス幅は大きく改善したものの、
依然として全体的には弱含みの状況が続いています。
輸出市場別では、中国および香港が約2億ユーロ規模で最大市場であるものの、
中国は-17.7%、香港は-24.7%と大幅な減少を記録しました。
高級品市場は堅調である一方、中国・米国・欧州では中流階級の消費余力が低下しており、今後は「適正価格で高品質」を提供する
中間価格帯への期待が高まると見られています。
また、PITTI IMAGINE UOMO開催中に起こった労働搾取問題を巡るデモなどにより、
業界の社会的責任や人間の持続可能性が強く問われる局面となっています。
Confindustria Modaコンフィンドゥストリア(イタリア産業総連盟):
製造業およびサービス業に従事するイタリアの企業を代表する主要団体。コンフィンドゥストリア・モーダは
そのファッション部門に属する
生地価格の動向
中国による原毛買い付け増加の影響、相変わらずの円安/ユーロ高の影響を受け、
IDEA BIELLA系メーカーを中心に価格は前年比15〜20%上昇となっています。
27SSシーズンのトレンド
26-27AWの流れを継承するかのように、柄やアイテム性を主張しない「無地調」の
プレーンでクリーンな素材が中心です。
糸形状や加工、変形組織による微細な表情が、春夏シーズンとしての新鮮さを
表現しています。
ベージュ、グレージュなどのナチュラルカラーを基軸に、ベースカラーの色味の
バリエーションが豊富な点も特徴です。
為替や原料事情を踏まえつつ、春・夏・初秋の気候バランスを考慮した
日本市場独自のターゲット設定と戦略性がより重要となるシーズンと
捉えることができます。
◎会場では2027年春夏シーズンに向けて、3課おすすめするリコメンドクオリティを
集約したコーナーを設け生地とその製品展示を行いました。


