メディア 2025.10.17
《26~27年秋冬テキスタイルキーワードアンケートから》㊦ 求められる軽さ・薄さ 起毛などで温かみ
《26~27年秋冬テキスタイルキーワードアンケートから》㊦
求められる軽さ・薄さ 起毛などで温かみ
繊研新聞:2025年10月17日(金)更新
暖冬を受け、秋冬向けファッションテキスタイルでも、
軽さや薄さが求められるようになった。26~27年秋冬は、
起毛などで温かみのある見た目に仕上げた素材が動きそうだ。
「ウォーム感」に着眼する企業が目立った。
軽量感に応える
25~26年秋冬テキスタイルキーワードアンケートで上位に急浮上した「軽さ」。
柴屋はウールに注目し、「春夏に続き、透け感はトレンド」として、
軽量感を出したウールガーゼをプルオーバー向けに用意する。
「軽さと兼ね合わせて、着心地の良さを重視する」とは、サンコロナ小田。
主力のオーガンディやチュールをアウターやスカート、ドレス、ブラウスに薦める。
旭化成アドバンスは「猛暑と暖冬の影響で、
年間を通じて透け感や軽量感のあるアイテムの需要が伸びている」と見て、
キュプラ「ベンベルグ」100%・合繊交織の織物、丸編み、経編みをレディスアイテムに推す。
シアー素材をレイヤードスタイルに用いる提案もある。
「再解釈された表現でのプリント柄がトレンド」という伊吹は、
プリントした透明感のある素材を見せ、二枚重ねなどの用途を想定する。
暑い秋に工夫
軽さに配慮しながら、温かみを感じさせる要素として、起毛に注目が集まった。
スモテキスタイルは、微起毛した薄手のポプリンや両面に起毛を施した柔らかいカツラギ、
甘く織り上げたスエードを見せる。「年々夏が長くなって秋が短くなり、
保温性のある素材の需要が減ってきている。
軽さを意識しつつ、色や素材感で秋冬らしさと季節の移ろいを表現する」という。
瀧定名古屋は「暑く長い秋、寒く短い冬に対応する機能性は、
ファッション性を持った素材でも重要」と考える。
「見た目に温かみがありながらタッチは温かみのない素材」や調温機能のある素材、
ファッション性を持ち合わせた機能素材を打ち出す。
麻や綿を得意とする小原屋繊維は「様々な起毛でウォーム感を加えた」素材を充実し、
ライトアウター向けに紹介する。「従来のスエードやモールスキンだけではなく、
新しい起毛素材を世代問わず提案したい」考えだ。綿の二重織りは起毛し、
カシミヤのような肌触りを特徴とする。
スタイレム瀧定大阪は、しなやかなベルベットやベロア、薄手のコーデュロイといった、
光沢感があり装飾的で、温かみを感じる起毛素材に期待する。
ウォーム感を演出する素材として、ジャカードを紹介する企業もいくつかあった。
クロスジャパンは、ジャカードの表に糸をフリンジのように出した素材を打ち出す。
「オールシーズン使用可能で、自宅でも手入れがしやすく、近年の暑さにも対応できる」点も重視し、
綿をベースにした薄手の素材にウールやアクリルでウォーム感を加えた素材を見せる。