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メディア 2025.10.06

26~27年秋冬テキスタイルキーワード 上質さへの需要高まる

26~27年秋冬テキスタイルキーワード 上質さへの需要高まる
繊研新聞:2025年10月6日(月)更新
 

26~27年秋冬のテキスタイルキーワードランキング(本社調べ)は引き続きカジュアル志向が強く、「ビンテージ」「ナチュラル」が上位に並んだ。
「服を長く着る」消費者心理から、上質な素材も求められる。暖冬の影響を受け、軽さや薄さもポイントになりそう。
起毛などで表面に変化を加えたり、プリントや光沢で意匠性を高めた素材にも注目だ。

 

1位 上質・高級感 価格より質を重視

 

高級な原料使いや丁寧で繊細な仕上げなど、日本ならではの企画力を発揮する。
インフレや不安定な経済環境で、安さより「長く使える良い物」を選ぶ消費者心理の変化に応える。
「ライフバランス重視、ウェルネスなどの潮流と気候変動により、通年で着心地よく快適に着られて、
上質でファッション性の高いものが求められている」(吉忠ファッション)と見る企業が多かった。
双日ファッションは「物価高騰で以前のように安価な服を短期間で着回し、廃棄する概念がなくなっている。
ラグジュアリーなアイテムを取り入れ、長年愛用できるものを求める」とし、シルクやウールを充実する。
瀧定名古屋は「上質な原料を使ったコンパクトな素材、軽さがあり仕立て映えし秋から使用できるウールといった上質なタッチと軽さを持ち合わせたエレガントな毛足素材を提案」する。

 

2位 ビンテージ 柄や加工で表現

 

上位常連の「ビンテージ」は根強い人気で2位につけた。ユーズド感のある素材に継続して関心が集まる。
「今後もファッショントレンドは大きくビンテージの影響を受けると推測する」(帝人フロンティア)、
「昭和レトロブームからのレトロ柄、花柄、幾何学模様に注目」(コッカ)、「使い込まれた風合いに魅力を感じる」(中伝毛織)と着目する声が多数あった。
サンコロナ小田は「ビンテージ加工による微細な表面感はこなれ感が出る。合繊素材の場合も日本の加工技術は高く、依然として好評」という。
渡六毛織は「ビンテージ感のある素材は継続して引き合いがある」ため、梳毛ウールに起毛、縮絨(しゅくじゅう)加工した素材を打ち出す。
スタイレム瀧定大阪はきれいめで優しい経年変化を楽しめる素材として、微起毛加工の綿や綿複合、フィブリルタッチのセルロース混を揃える。

 

3位 ナチュラル 綿・麻・天然調まで

 

「天然素材を中心としたトレンドが継続」(帝人フロンティア)する中、「ナチュラル」が支持された。
麻や綿、ウールに注目だ。川島織布は近年売れているという細番手の織物を、川越政は綿のバイオウォッシュ加工やシルクのフィブリル加工などを推す。
天然素材の高騰に伴い、「天然調合繊のニーズが高い」というサンコロナ小田は、「テンセル」や和紙を用いたオーガンディを薦める。
背景には、環境への関心の高まりもある。
リリーレース・インターナショナルは「体にも環境にも優しい」天然素材由来に着眼。肌触りや風合いの良さもポイントとする。
小松マテーレは廃棄される天然成分を活用して染めた「オニベジ」の需要が伸びている。

 

3位 軽さ 必須条件に定着

 

長引く残暑や暖冬の影響から、秋冬でも「重くない」「ストレスの少ない」着用感が求められている。
軽い素材を重ねるスタイルも定着しており、軽量素材のニーズは引き続き高い。
サンウェルは初秋向けに「かさ高かつ軽量で通気性のある素材」を重視する
瀧定名古屋は「膨らみや凹凸といった表情感は重要だが、軽さがあることは必須」と見る。
タキヒヨーも「用尺をかけたアイテムが増え、軽さを持つ素材はマスト」と考える。
東播染工は薄手のネル生地をシャツ、パンツ向けに作る。小松マテーレは「軽くて動きやすい
機能的なスポーツカジュアルウェアが注目されている」として、防水透湿素材の「クアトローニEX」をコート、ブルゾン向けに企画する。

 

5位 サステイナブル 不可欠な環境対応

 

環境配慮は素材開発の上で必須条件となっている。
欧州のサステイナブル関連法規制やESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大により、輸出では環境対応が不可欠だ。
一例に、エイガールズは今夏、GOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)認証を取得した。
柴屋は非フッ素(C0)撥水(はっすい)素材などをマウンテンパーカ向けにラインナップする。
タキヒヨーはリサイクルポリエステルやリサイクルナイロンを使った合繊素材を企画する。
一方、「SDGs(持続可能な開発目標)達成のためのコストアップをどのように克服するか」(石橋商事)といった課題は引き続き残る。

 

6位 凹凸 見た目の変化人気

 

表面感のある素材として引き続き関心を集めた。
アルテックスは「見え方のおもしろさ」から凹凸に注目。
宮田毛織工業は「見た目に変化が伝わりやすい生地は常に要望がある」と話す。
キルトやブリスター組織のほか、意匠糸使いのブークレなどを作る。
「肌離れの良さは通年使える機能で人気」(宇仁繊維)と機能的価値とも結びつくのが凹凸の特徴。
カゲヤマは「海外からも人気で、強く求められることが多い」とし、カジュアルシャツやドレス向けに起毛などのシャーリングを打ち出す。

 

6位 起毛 かさ高や表面感

 

世界的に不安定な社会情勢の中、ぬくもりのある起毛がランキングの上位に浮上した。
「これまでの〝表面感ブーム〟の流れが26~27年秋冬ではボアやフリースでの表現になる」(ササキセルム)、
「起毛でかさ高性を出しながら、重たくならない素材感が必要」(サンウェル)という。
小原屋繊維はリネンの起毛や綿のナッピング起毛を出し、「暖冬傾向が続く日本の冬に、様々な起毛でウォーム感を作る」。
スタイレム瀧定大阪は、しなやかなベルベットやベロア、薄手のコーデュロイを暖かみある素材として企画する。

 

6位 プリント ビンテージ感に注目

 

需要低迷が指摘されているが、トレンドの変化や小ロット・短納期対応の流れを受け、26年春夏に続きプリントがランクインした。
「無地のトレンドから今季はビンテージ感のあるペーズリーや小花柄のシャツ、ポイント使いに注目している」(双日ファッション)、
「透け感や立体感など、あらゆるアイデアでプリントの概念を覆す」(デビス)という。
北高は「華やかで喜びを感じる意匠性にニーズがあると考えている」として、シャツやブラウスといったアイテムに向けて提案する。

 

9位 光沢 艶で高級感を演出

 

表面変化で根強く引き合いがある光沢。ササキセルムは「秋冬のほっこりした素材にサテンなどの艶を添えて視覚的な軽さを出したい」と中肉でハイストレッチに仕上げたサテンなどを推す。
「一格上のラグジュアリー感を表現し、ベーシックな素材感との差別化を図る」(コスモテキスタイル)、「比較的容易にエレガント感、リッチ感を表現できる」(石橋商事)などもあった。

 

9位 薄地 気候変動の影響大きく

 

気候変動の影響で、秋の立ち上がりでも薄地の需要が高まっている。
「猛暑暖冬の影響でシーズンを問わず透け感、軽量感のあるアイテムのニーズが増えている」(旭化成アドバンス)、
「これだけ暑いと秋冬の立ち上がりはまだまだ清涼感のある素材が必要」(中伝毛織)と、暖冬への指摘が多く挙がる。
サンコロナ小田は「軽さと組み合わせ、着心地の良さを重視」し、オーガンディやチュールを訴求する。

 

《ピックアップ》「ウール・獣毛」に再び光

 

暖冬の影響を受け、需要が低迷しているウールと獣毛に再び光が当たりそうだ。
「秋冬に限らず、オールシーズンでウールのニーズが伸びてきている」とはエイガールズ。
高品質のウールを提案する機会が増えてきているという。26~27年秋冬は、シルケットウールや強撚ウールに注力する。
ウールの暖かさや柔らかな風合いを持ち味に、軽やかさや透け感を意識した素材も充実する。
クロスジャパンは、ウールベースの薄地や大胆な柄を入れたカットジャカードをドレスやチュニック、重衣料に薦める。

 

《色・柄》優しいココアブラウン

 

色は赤系が人気だった昨秋冬とは変わり、ブラウンが断トツだった。
中でも、ココアのようにまろやかな色味に注目する企業が散見された。
2位はグレーとブルーが続き、小差でレッド、パープルと並んだ。
アースカラーも少数あり、全体的にナチュラルで落ち着いた雰囲気だ。
柄は秋冬定番のチェックが今年も良さそう。
様々な種類が挙がり、ビッグチェックやオンブレー、タータン、「80年代風のミニチェック」、ハウスチェックなど。
少数だが、ストライプや花柄、レトロ調が散見された。

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