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    瀧定名古屋社長 瀧昌之氏 仮想世界に思考向く

メディア 2018.04.26

トップインタビュー
瀧定名古屋社長 瀧昌之氏 仮想世界に思考向く

「バーチャルな世界に思考が向き、買い物などリアルな思考が
働かなくなっている」と瀧定名古屋の瀧昌之社長は分析する。
こうした消費構造の変化を捉えたのがネット販売。
ネット専業の新興アパレルが登場し成長する中で、
同社としても「既存顧客を支える」と同時にネット専業含めた
新規顧客の開拓に挑戦。全社で20チャネルの開拓を掲げる。

—第4次産業革命が進行しつつあると言われますが、
実感はありますか。

社会人になってすぐにデジタル化を実感しました。
パソコン、ワープロ・表計算のソフトそしてメール。
仕事のやり方が時間をかけながら変わっていきました。
革命は大きな変化ですが、本当の変化には20〜30年かかります。
今はデジタル化による変化の最終段階でAI(人工知能)や
IoT(モノのインターネット)もその延長線と捉えています。
スマートフォン登場がとどめだったかもしれません。

老若男女全てがつながり、情報洪水の中で溺れそうになっている。
多くの情報を取捨選択するだけでも大変です。
脳が参ってしまいますよ。既に人が処理できる情報量を超えています。

結果、情報選択が粗っぽくなり、取捨選択ではなく、
内容とは関係なく反応するだけ。メールに追いまくられて脳が
疲れてしまい、仕事も粗雑になっていると感じています。
事実トラブルが増え、売り上げが増えても経費がかさみ
利益がマイナスになることもあります。
確かに便利になり、生産性も高まりましたが、負の面が表れ始めた。
そこで当社では今年2月以降、上司から部下へのメールは
午後8時までにしました。情報遮断です。
メールの効用を撲滅させますが、頭を休ませる必要があると判断しました。

—ファッション市場も変化しています。

消費者が情報に追われて買い物をしなくなっています。
バーチャルの世界に思考が向き、買い物をするという
リアルな体験に思考が働かない。
その変化を捉えた企業が消費者を購買へと導いています。
まだマスではありませんが、電子取引(EC)販売です。
参入障壁が低いファッション衣料では
ネット専業の新興アパレルが登場して既存、
特にリアル店舗を侵食しています。

—その中で事業展開していかねばなりません。

既存顧客を支えながらも新興アパレルの開拓に力を入れます。
ネット専業含めて全社で20チャネルの新規開拓を取り組んでおり、
成果も表れています。
ネット販売はバーチャルですが、商品はリアル。
誰が作るのかという問題があり、当社のような
川上から川下までのノウハウが必要とされています。
既存顧客もネットに力を入れていますので、
モノ作りに力を入れ充実させていきます。
ファッション産業を支える意味でもそれが役割ですし、
社会、市場が変化する中で、以前より掲げる川上重視の
モノ作りをより強化しなければならないと考えています。

川上戦略を担う原料素材部もウール中心から合繊へと
広がりを見せています。大きな数字に表れていませんが、
人脈も広がり、新開発の糸も生まれています。
良い商品を売る力を持つ部門があるからこそ開発投資も行えます。
売れるならもっと良い商品を作る。
そうした良い回転になっています。
現在、原料素材部の7割は社内向けですが、
将来的に社外販売を拡大し自立組織にしたいとも考えています。
社内だけでは情報が限られます。
より多くの顧客に糸売りすれば開発の幅が広がり、
自社のテキスタイルに生かすことにもなります。

—2018年1月期はテキスタイルの海外販売が伸びました。

中国、韓国向けは成長し続けていたものの、
欧州向けが苦戦し踊り場にありましたが、
欧州が底打ちし、好景気を背景に米国向けが伸びたことで
2桁%増収となりました。中国向けも2桁%成長が続いています。
生活水準が向上し、より良いモノを求めているのは間違いありません。
中国アパレルも構造改革の中で、企画重視に変化しています。
ただ、ドイツ向けは今一つです。
安価なSPAへ消費が変化しているのかもしれません。

—オランダ・アムステルダムの駐在員事務所を現地法人化しました。

アムステルダムは欧州市場だけでなく、
中国を除いた海外販売の司令塔でもあります。
現在は2人体制ですが、先を見据えて現地法人化しました。
ドイツ以外の市場、スカンジナビア半島などの開拓にも
取り組んでおり、欧州販売が復調すれば増員する計画です。

—縫製品も収益改善が進みました。

時々、大きなクレームが出ることもあります。
縫製品はさまざまな工程が利益の源泉です。
うまくやればもうかりますが、
一つ間違うと大きなマイナスにつながります。
底を打ったと考えていますが、まだまだロスが多いと考えています。

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