メディア 2025.11.04
三陽商会 瀧定名古屋とタッグ
三陽商会 瀧定名古屋とタッグ
繊維ニュース:2025年11月4日(火)更新
三陽商会は瀧定名古屋(名古屋市中区)と組み、
自社工場から排出されるウール繊維素材の端材を再利用する取り組みを今年8月から始めた。
瀧定名古屋が展開する再生ウール素材「リニュール」の原料向けにウール端材を供給することで、
繊維から繊維への循環を推進する。
三陽商会のコート専業工場「サンヨーソーイング青森ファクトリー」(青森県七戸町)では、
生産工程で発生する端材が1日30㌔に上る。
そのうちの約2割がコートライナー地の裁断くずで、紡毛のウールだ。
一方、スーツ生産に特化した「サンヨーソーイング福島ファクトリー」(福島市)でも
1日30㌔の端材が出る。このうち約6割が梳毛のウール。
この2工場から出る紡毛と梳毛のウール端材をリニュール向けに供給し、
年間で5㌧超になる見込みだ。三陽商会の田中秀明生産開発部長は
「これまで廃棄していた端材を活用して環境負荷の低減につなげる」と話す
リニュールの主な製造工程は、
▽国内で回収したセーターなどの古着や縫製工場から出る裁断くずを色ごとに仕分ける
▽付属品を取り除く▽反毛・紡績を施した糸を用いて生地にする――という流れだ。
瀧定名古屋は2017年ごろから風合いや品質の改良を重ね、
21年にはリニュールの専用サイトを立ち上げた。こうした施策が奏功し、
ここ数年はリニュールを採用するアパレル企業が増えていると言う
風合いも魅力 「リニュール」
三陽商会は瀧定名古屋にウール端材を提供する以前から、リニュールを自社商品に使っている。
24年実績では婦人服「トゥービーシック」「エヴェックス・バイ・クリツィア」、
紳士服「マッキントッシュ・フィロソフィー」などのブランドでボトムスやトップスに採用。
リニュールは環境配慮の観点から注目されているが、
三陽商会の田中部長は「風合いなど素材そのものが良く、
価格面でも魅力を感じる」と評価する。
瀧定名古屋の山原大マーケティング戦略部部長も
「最近は素材の良さから興味を持つ顧客が増え、環境に配慮した素材ならなおさら良いと
採用につながるパターンが多い」と指摘。
その上で「古着や裁断くずの回収量とリニュールを使用した衣料品が共に増えることで、
持続可能な資源の循環を促進していければ」と力を込める。

